ICTSC2026 一次予選 問題解説: 問26

問26

データセンター内に、冗長構成を組んだルータ2台(R1、R2)があり、同じく冗長構成を組んだ受信側ルータ2台(R3、R4)に対して、同一のIPプレフィックスをEVPN Type-5経路としてそれぞれBGPで広報している。R3はルートリフレクタを介さずR1・R2それぞれと直接iBGPセッションを確立している(R4も同様の構成のため、以下ではR3の経路選択のみを問う)。

R3側ではECMPが有効化されており、maximum-pathsは2以上に設定済みであることを確認している。
しかし実際には、R3はR1・R2から受信したType-5経路のうち一経路のみをベストパスとして選択し、マルチパスとして扱われなかった。なお、R1・R2からR3への到達性、ネクストホップの有効性、AS_PATH長・MED・LocalPref等のパス属性はすべて同一であることを確認済みである。R1・R2・R3・R4はすべてHPE Juniper Networking製ルータで構成されている。

マルチパスとして経路が選択されなかった原因を、次の選択肢から一つ選べ。

選択肢(択一選択)

  1. R3はルートリフレクタ(RR)を経由してR1・R2からのType-5経路を受信しており、RRはクライアントに対してベストパス1経路のみを反射する設定になっている
  2. R1・R2が広報するType-5経路のRD(Route Distinguisher)が同一になっている
  3. R1・R2のRoute Target(RT)設定が異なっている
  4. next-hop-selfが設定されていない

正解

2

解説

正解 2.R1・R2が広報するType-5経路のRD(Route Distinguisher)が同一になっている
JunosでEVPN Type-5経路をECMPさせるには、VRF内でmultipathを有効にする必要があります。ただし、R1・R2が同一プレフィックスを同一のRDで広報すると、NLRIも同一になります。
この場合、パス属性がすべて同じであっても、2つの経路は通常のベストパス選択で1本に絞られてしまい、multipathは動作しません。
RDを異なるものにするとNLRIも異なる値になるため、それぞれが別々の経路として存在でき、multipathの対象となります。そのため、Junosでは冗長構成のルータごとにRDを分ける必要があります。

1.R3はルートリフレクタ(RR)を経由してR1・R2からのType-5経路を受信しており、RRはクライアントに対してベストパス1経路のみを反射する設定になっている
問題文に「R3はルートリフレクタを介さずR1・R2それぞれと直接iBGPセッションを確立している」とあるため、当てはまりません。

3.R1・R2のRoute Target(RT)設定が異なっている
R3が両方のRTをインポートする設定であれば、RTが異なっていても両経路ともVRFに取り込まれるため、multipathを妨げる原因にはなりません。
また、片方のRTがインポートされない場合、その経路はベストパス選択の候補にすらならないため、「両方を受信したうえで1経路をベストパスとして選択した」という問題文の状況と一致しません。

4.next-hop-selfが設定されていない
問題文に「ネクストホップの有効性」と「到達性」は確認済みとあります。
また、next-hop-selfはネクストホップの値を変える設定であり、2つの経路を別々の経路として扱えるかどうかには関係しないため、当てはまりません。