ICTSC2025 本戦 問題解説: [5753] いずい
概要
あなたは最近IS-ISの勉強をしようと思っていましたが、そういえば一年前ぐらいにも勉強しようとしていたことを思い出しました。その時の設定が残っていてぐちゃぐちゃなので、Loopbackアドレスでpingが繋がるところまで復旧してください。

制約
- static routesを書いてはならない
初期状態
- RT-01のLoopbackからRT-02のLoopbackにpingが通らない
user@5753-RT-01:~$ ping 2.2.2.2 source 1.1.1.1
PING 2.2.2.2 (2.2.2.2) from 1.1.1.1 : 56(84) bytes of data.
^C
--- 2.2.2.2 ping statistics ---
13 packets transmitted, 0 received, 100% packet loss, time 12316ms
終了状態
- IS-ISのNeighborが上がっている
- RT-01のLoopbackからRT-02のLoopbackにpingが通る
user@5753-RT-01:~$ run ping 2.2.2.2 source-address 1.1.1.1
PING 2.2.2.2 (2.2.2.2) from 1.1.1.1 : 56(84) bytes of data.
64 bytes from 2.2.2.2: icmp_seq=1 ttl=64 time=1.08 ms
64 bytes from 2.2.2.2: icmp_seq=2 ttl=64 time=0.970 ms
64 bytes from 2.2.2.2: icmp_seq=3 ttl=64 time=1.36 ms
64 bytes from 2.2.2.2: icmp_seq=4 ttl=64 time=0.946 ms
^C
--- 2.2.2.2 ping statistics ---
4 packets transmitted, 4 received, 0% packet loss, time 3005ms
rtt min/avg/max/mdev = 0.946/1.090/1.363/0.165 ms
解説
今回の問題では、以下の2つの設定不備が原因でIS-ISのNeighborが上がらない状態になっていました。
1. RT-01にIS-ISの設定が入っていない
RT-01にはIS-ISの設定が一切入っていませんでした。そのため、RT-02からIS-IS Helloパケットを受け取っても応答できず、Neighborが確立できない状態でした。RT-01にIS-ISの設定を追加し、インターフェイスとLoopbackアドレスをIS-ISに参加させることで解消されます。
その際に、IS-ISのレベルやNSAPアドレスの設定についてRT-02の設定と比べながら行う必要があります。
2. RT-02のeth1にpassiveの設定が入っている
RT-02のeth1にpassiveの設定が入っていました。passiveに設定されたインターフェイスはIS-IS Helloパケットの送受信を行わないため、Neighborの確立ができません。RT-01との接続に使用しているeth1からpassiveの設定を削除することで、正常にHelloパケットの交換が行われNeighborが上がるようになります。
以上の2点を修正することで、IS-ISのNeighborが確立され、LoopbackアドレスがIS-ISで広報されRT-01のLoopbackからRT-02のLoopbackへのpingが通るようになります。
採点基準
- IS-ISのneighborがupしているか
- loopback同士で通信できるか
- 上記の2つができて200点
講評
IS-ISという馴染みのないプロトコルに挑戦していただきありがとうございました。みなさんIGPで最初に学ぶのはOSPFが主流かと思いますが、IS-ISも広く使われているプロトコルです。今回はIS-ISの設定の仕方を知ってもらうことを考えに入れて作問しました。あまり難しいことはせずにIS-ISの基本的な設定を行うだけの問題にし、採点基準としても単純なものとしました。
この問題をきっかけにIS-ISに興味を持っていただけたなら嬉しいですし、楽しかったという声も聞けたのが嬉しかったです。これからIS-ISについて一緒に学んでいけたらとも思っています。
また、今回の解答の中にはVyOSのconfigure modeからではなく、/etc/frr/frr.confを編集することでIS-ISの設定を行っているケースがありました。show configurationでは設定が見えないにも関わらずIS-ISのNeighborがupしているという一見不思議な状態になっており、採点時に調査して初めて判明したものです。このような解法を制約として明示できなかった作問者側の考慮不足はありますが、VyOSにおいてFRRの設定ファイルを直接編集するやり方がコンフィグレーションとして正しいのかという疑問は残ります。
以上のような解法は、トラブルシューティングから報告書の作成までをAIに任せているのではないかと推測しています。報告書の内容にAIによるハルシネーションが含まれている部分も確認はしたので、報告書を提出する際には内容をしっかりと確認していただきたいと思います。
AIを使うことに反対はしませんが、AIの使い方とAIが生成したものについての責任は持っていただきたいと思います。
おまけ
問題タイトルの「いずい」について触れておきます。「いずい」とは東北地方の方言で、何かがしっくりこない・収まりが悪い・居心地が悪いといった感覚を表す言葉です。IS-ISを扱うという部分(いずいずと読めなくはない)と設定がぐちゃぐちゃで何かがおかしい、という今回の問題の状況にぴったりだと思い「いずい」という問題名をつけました。