問題解説: VyOSは電気ペンギンの夢を見るか?
問題文
社内にVyOSを導入することが決まった。
そこで、社内のインフラを構築する前に以下の図の様なテスト環境で検証を行った。
VyOSにDNSのキャッシュサーバとDHCPサーバを起動し、下に接続されているUbuntuにIPアドレスを割り当てた。
しかし、Ubuntuから外部のサーバにアクセスしようとしたが接続できずICMPを送っても応答がない。ところが、VyOSからICMPを外部のサーバに送ると応答が返ってくる。
なので、Ubuntuから外にアクセスできる様に解決してほしい。ただし、Ubuntuに直接接続することはできず、VyOSからはアクセスできるようになっている。
スタート
- Ubuntuから外部のサーバにアクセスできない
- VyOSからはアクセスが可能
ゴール
- Ubuntuから外部にアクセスできる
情報
サーバ | IP アドレス | アカウント | パスワード |
---|---|---|---|
vyos | 192.168.20.80 | admin | PxZsMqycN4a4nzlk1Xg7 |
client | 192.168.20.2 | admin | kopvVL3cT2tkALu4nQnD |
トラブルの概要
この問題ではVyOSがNATをして下に接続されているUbuntu Server(以下clientとする)が外とアクセスできるような構成になっていました。しかし、何らかトラブルでclientが外と全く疎通が取れない状態でした。VyOSから8.8.8.8にpingをすると応答が帰ってくるという状態でした。
解説
問題文を読んだだけで大抵の人はVyOS側に問題があることに気づいたかと思われます。答えはVyOSのNATの設定に不備がありclientが外に繋げられなかったということです。
解答例
NATの設定を確認するためにshow nat
を打つと以下のように表示されます。
nat {
source {
rule 1 {
outbound-interface eth1
source {
address 192.168.20.0/26
}
translation {
address masquerade
}
}
}
}
今回の場合、VyOSが対外に接続しているインターフェースはeth0なのにoutbound-interface eth1
となっています。これが原因な訳でこれを消すか上書きしてあげることで疎通が取れるようになるはずです。以下のような手順で上書きをしてみます。
# set nat source rule 1 outbound-interface eth0
# commit
# save
この後に8.8.8.8に対してpingをすると以下のように接続できていることがわかります。
$ ping 8.8.8.8
PING 8.8.8.8 (8.8.8.8) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=1 ttl=61 time=12.8 ms
64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=2 ttl=61 time=11.8 ms
64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=3 ttl=61 time=10.4 ms
64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=4 ttl=61 time=9.57 ms
採点基準
- 外部に疎通できないことを指摘
- 解決方法の提示
- そのあとに疎通できることを提示
講評
この問題はウォームアップ問題として作成しました。なのでほとんどのチームが解答してくれました。実はVyOSは一回も触ったことがありませんでした。だそうにも難しくすることができないので実際に自分がミスしたところを出せばいいのではと思い出題しました。